【獣医師監修】犬が足をなめる理由とは?行動の裏にある気持ちや原因となる病気、対処法などを解説

【獣医師監修】犬が足をなめる理由とは?行動の裏にある気持ちや原因となる病気、対処法などを解説

犬が足をなめることには、どんな理由があるのでしょうか? 犬が人の足をなめる時と、自分の足をなめる時では、行動の意味が違うようです。そんな犬が足をなめるという行為について、獣医師の茂木千恵先生に改めて解説していただきます。

犬はなぜ“なめる行為”をするの?

人の手をなめる犬

犬が何かをなめている姿を目にすることは日常茶飯事ですが、犬がなめる理由とは何でしょうか?

 

例えば、飼い主の口をなめるのは、親愛の気持ちを込めた行動のひとつ。飼い主が帰宅した際に口や顔中をなめるのは「帰ってきて嬉しい」という気持ちを表していると考えられています。また、時にはお腹がすいたことをアピールして、ご飯を催促している場合もあります。

 

飼い主の手や腕をなめる時は、遊ぼうと誘っていたり、頭や体をなでてほしいと伝えていると考えられています。飼い主が遊びやなでるときに使う手や腕にアピールしているのです。一方、キッチンや食卓、食器からこぼれ落ちた食べ物の匂いにひきつけられて、床をなめるケースもあります。

 

このように犬は何らかの意思表示や興味から、なめる行為をしているのです。では、犬が人(飼い主)や自分の足をなめる行為は、何を意味しているのでしょうか?

犬が飼い主の足をなめる理由とは?

人の足をなめる犬

犬が飼い主の足をなめる行為をとるのには、主に以下の理由が考えられます。

 

飼い主に遊んでほしい

手や腕をなめる時と同じく、遊んでほしいときに気を引こうとして飼い主の足をなめることがあります。また、犬に足をなめられると、多くの飼い主はくすぐったくて反応が大きくなります。それにより犬は「飼い主さんが注目してくれる」「喜んでくれる」と肯定的に記憶してしまうケースもあるようです。

 

飼い主を落ち着かせたい

あるいは、飼い主が怒ったりイライラしたりしている時に、「落ち着いてください」「そんなに怒らないでください」「私はあなたのことが好きです」という服従に似た意味を込めて、なめ続けることもあります。

 

飼い主の足から美味しい味がする

この他、人の足にはたくさんの汗腺や皮脂腺があり、多くの匂いと分泌物が出ているため、単純になめると美味しかったということも考えられます。

犬が自分の足をなめる理由とは?

足をなめる犬

犬が自分の足をなめる理由とは、何でしょうか?

 

セルフグルーミングで犬は足をなめる

犬は通常、セルフグルーミング(毛繕い)の一環で足をなめます。健康な犬は、食後や寝る前、お気に入りの場所に落ち着いたとき、屋外から戻った後に足をなめます。これは足先についている汚れや食べ物をなめとって清潔にしたり、寄生虫やノミ・ダニを排除するための本能行動で、衛生管理が目的です。セルフグルーミングをあまり行わない犬でも、時々、足をなめてきれいにします。

 

 

セルフグルーミングですから、上記のタイミングで犬が足を時々なめていたとしても、それほど心配することはありません。

 

しかし、犬が足をずっとなめ続けている場合には、次のような理由も考えられるので注意が必要です。

 

犬が足をなめ続けていると気づいたら注意が必要な理由

かゆい(アレルギー)

アレルギーの場合、耳や口もかゆがっているときが多く、なめるだけでなく、噛んだり掻き毟ったりします。

 

痛み

傷やトゲ、割れなどがあって痛いと、犬は足をなめます。犬がなめているところを触ろうとすると、唸り声を上げることもあります。骨折や関節炎などで歩き方がおかしいときも、不自由そうに足をなめます。

 

胃腸の問題

精神性と感染性の両面で胃腸の不調がある犬には、かゆみや痛みが併発している可能性があります。

 

乾燥肌

肉球が乾燥してひび割れてしまうと、痛みが気になり足をなめてしまいます。

 

退屈、不安

遊びやご飯が終わってしまい手持ち無沙汰になると、暇つぶしでなめる場合があります。不安を感じたときも、自分を落ち着かせようとしてなめます。

 

ホルモン異常

ホルモンバランスが崩れクッシング病や甲状腺機能低下症になると、赤い斑点ができたりハゲかかったりするなど皮膚の問題が発生しやすくなり、このような異常な部位をなめてしまいます。

 

ノミ寄生、細菌または真菌感染症

肉球の間にノミが寄生していたり、細菌感染症または真菌感染症の症状が足に出たりしていると、なめてしまいます。

 

犬が足をなめることのメリット・デメリットとは?

人の顔をなめる犬

犬が足をなめることのメリット

セルフグルーミングの一環として行うことで、足裏の清潔を保つことができます。

 

犬が足をなめることのデメリット

デメリットは、なめることで指の間が湿ったままになると雑菌が繁殖しやすくなり、炎症が起きやすくなることが挙げられます。すでに炎症がある場合は悪化してしまう可能性も。

 

また、足なめにより犬の口腔内や唾液に感染症を起こす細菌やウイルスが多く含まれると、その口で飼い主をなめることで、飼い主が「人獣共通感染症(ズーノーシス)」に感染するリスクが高まります。病気の感染を避けるためにも、なるべく愛犬に体をなめさせないよう行動をコントロールしましょう。

犬の足なめを放置するのは危険!?

足をなめる犬

傷や炎症が悪化することも

犬が自分の足をなめることで、炎症がさらに悪化したり傷の治りが遅くなったりと、かゆみや痛みが長引くことがあります。また、叱られた時などに自分の体をなめることで、葛藤や欲求不満を解消したり、動揺や興奮を鎮めたり、周囲の不安な状況を無視できるという効果から、繰り返しなめてしまうケースも見受けられます。

 

心の病気に発展する恐れも

皮膚が赤くただれるほど自分の足をなめ続ける行動は、「常同行動」と呼ばれます。そこからさらにストレスが溜まることで、「常同障害」という精神的に異常をきたした状態になり、傷が生じるほどに足先やしっぽを噛み続けるという、看過できないケースに発展する場合もあります。

犬の足なめ癖をやめさせるには?

靴下を履いた犬

犬がずっと足をなめ続ける様子を見つけたら、まずはその原因を特定することです。足をよく観察したり触ったりして、切り傷、傷、赤みなどの目に見える兆候がないかどうかを確認しましょう。

 

ただし、最善策は目に見えるケガの兆候が見られても見られなくても、獣医師に診察してもらい、足をなめる理由を特定してもらうことです。治療を必要とする感染症やアレルギーが見つかれば、すぐに治療を始めることが重要だからです。

 

 

傷やケガが原因の足なめをやめさせる方法

もし、足に傷があれば、犬が傷口をなめないように保護する必要があります。その際、首に巻くエリザベスカラーを使う方もいると思いますが、エリザベスカラーは犬にとって不自由でストレスにもなりかねないため、長期間の使用は避けたいものです。

 

おすすめは、嫌がらなければという条件付きですが、靴や靴下を履かせることです。足の裏に傷や炎症があるときは散歩時に靴を履かせることで、傷口から細菌などの感染を防げます。靴下を嫌がる、履いても歩けない場合は、包帯を巻きましょう。適切な巻き方は獣医師に相談して教わってください。

 

 

ストレスが原因の足なめをやめさせる方法

犬にとって毎日のフードや運動の量は十分か、安心して過ごせる環境か、分離不安症になっていないか、暇な時間や留守番が長過ぎないかなど、精神的なストレスの原因を特定し排除することが大切です。

 

退屈が原因であれば、犬と遊ぶ時間や散歩の時間を増やしましょう。犬と飼い主がよい信頼関係を築くためのコミュニケーションにもつながります。

 

ただ漫然と遊ぶより、記憶に残る遊び方があります。それは「おすわり」などの号令をかけて、指示通りにできたら褒めて遊びを再開するというパターンを繰り返す方法です。脳を使って体を動かし、こまめに褒めてもらえると犬の満足度が高くなります。また、過度のなめる行為の代わりに、おもちゃや骨を噛むよう犬を誘導することで、退屈感を和らげることもできるでしょう。

 

 

自己アピールによる足なめをやめさせる方法

犬は「注目して欲しい」「遊んで欲しい」とアピールする意味で、自分の体や足をなめることがあります。アピールされてもすぐには注目せず、「おすわり」や「まて」など、号令を使ってなめる行動以外の指示を出してやめさせ、やめたら必ず褒めましょう。

 

ただし、「ダメ!」などと大声で注意すると驚かせて不安にする可能性がある上、高い声で言うと応援されたと勘違いして興奮が高まることもあるため、声による叱責、体罰は厳禁です。

犬が足をなめ続けないように普段から飼い主ができることは?

カーペットに掃除機をかける

犬が足をなめる原因が、食物アレルギーによりかゆみを引き起こしている場合は、潜在的な引き金となる食品(獣肉や小麦など)を排除することが必要です。

 

また、細菌や酵母菌の感染予防、寄生虫の排除、保湿などは、飼い主が日頃から気にかけておくことで悪化は防げるはずです。犬のベッドを洗い、カーペットや布張りの家具を定期的に掃除機で掃除して、再感染の可能性を減らすなど、飼育環境の衛生管理をしっかり行いましょう。

監修/茂木千恵先生(獣医師)

ヤマザキ動物看護大学准教授。博士(獣医学)。専門は獣医動物行動学。大学で教育研究活動の傍ら、動物病院でもしつけや問題行動のカウンセリングを行う。フジテレビ系列「モノシリーのとっておき」、日本テレビ系列「志村どうぶつ園」などに動物行動学コメンテーターとして出演。雑誌「Shi-ba」(辰巳出版)などの記事監修も多数担当している。

監修者の他の記事一覧

著者プロフィール

わんクォール編集部

わんクォール編集部

カインズ・ペットメディア推進室のWanQol編集チームです。わんちゃんとオーナー...

詳しく見る

  • Facebook
  • Twitter
  • LINE

この記事に関連するキーワード